『天下統一』復刻版
メーカー : SystemSoft Alpha ジャンル : 戦略シミュレーション 体験版 : こちら
ファンサイト : 天下統一 Web Page おやびんのHP
※攻略記事は最下段の「攻略編」よりご覧下さい。
不朽の名作・『天下統一』復刻版 かつてMS-DOS全盛の頃、シンプルなゲームシステムと他に類を見ないコンピュータの強さで一世を風靡した戦国シミュレーションがありました。それが、初代『天下統一』です。
当時にあっても地味なグラフィックのゲームでしたが、見た目とは裏腹に綿密な歴史考証がなされ史実を可能な限り再現しているにも関わらず、システムは単純化して煩雑さを取り除いて遊びやすさとリアルさを同時に達成し、熱狂的なファンを得た名作でした。
Windows時代に移り、既に過去の作品と化した初代『天下統一』もファンの要望に応えてか、Windows版として戻ってきました。
PC-9801版を当時のままに 『天下統一』シリーズはMS-DOS時代において、『初代』、『II』、『II PUS(パワーアップセット)』の3種が発売されていました。このうち、『II PUS』についてはWindows版が『天下統一 〜乱世の覇者〜』および『天下統一 〜相剋の果て〜』として先に発売されていました。従って、Windows版では『初代』があとに発売された形となっています。
画面構成も当時のまま。
ただし、音楽だけはMIDI。
『天下統一 〜乱世の覇者〜』と『天下統一 〜相剋の果て〜』はWindows版と言うこともあってマルチウィンドウシステムが採用されたのですが、一部では扱いにくさが問題視されて、MS-DOS版と同じ画面構成にして欲しかったと言う要望が多くあったようでした。これを受けてか『初代』のWindows移植に際しては、当時のままにリメイクすることとなりました。
現在は、アミューズメントセンターから元祖PC9801版『天下統一』もダウンロード販売されています。こちらのバージョンは完全オリジナル版なので、元祖をこよなく愛するファンにはこちらがオススメです。
シンプルなゲームシステム 以後、特記がない限り『天下統一』とは初代を指すこととします。
この『天下統一』の特徴としては、シンプルなゲームシステムが挙げられます。コマンド系統はかなり集約されていて、初めて見ると物足りなさを覚えてしまうかも知れません。全てのコマンドを列挙しても
で全てです。もちろんこれは戦略部分でのコマンド一群なので、合戦フェイズまで含めればもうちょっとあります。でも、合戦フェイズを含めても“もうちょっと”です。
軍備フェイズ 武将の俸禄、兵の募集、鉄砲の購入 政略フェイズ 城の普請、治水開墾、楽市楽座、臨時徴税、領内移動、大名との同盟、武将の引抜き 作戦フェイズ 計略、作戦命令
しかし、コマンド数は少ないながらも必要最低限は揃っているので、史実の再現は充分です。それに、実際にゲームをプレイしてみると、上記のコマンド数でも良く出来ていると感じられます。コマンドの多さ≠リアルさでないことが実感できます。
例えば、軍備フェイズの「俸禄加増」一つを取ってもそれが伺えます。『天下統一』では、何かコマンドを実行させるたびに武将の忠誠が減っていきます。この現象に対し、一部で「主命は立身出世の糸口であるから、命令を受けることは名誉であり、コマンド実行の度に忠誠が減るのはおかしい」と言う批評があったようですが、ゲームデザイナーの解釈としては封建制度、つまり「御恩と奉公」の関係を再現した結果と言うことです。
「御恩と奉公」とは日本史でも習いますが、主人が家臣の領地を保護する代わりに戦時には主人のために戦ってもらうと言う関係です。そして、家臣が功績を挙げたなら主人は領地の加増によって功績に報いるという主従関係のことです。これは逆を言うと、功績を挙げても充分な恩賞(領地)を与えられなかったら家臣の忠誠は維持できないと言うことにもなります。鎌倉幕府が元寇以後政権を維持できなくなったのも、防衛に尽力した武将に充分な恩賞が与えられず、不満を増大させたのが原因の一つとなっています。
それはさておいても、『天下統一』においてはコマンド実行=功績という図式が成り立っています。功績に対して充分な恩賞(ゲームでは俸禄)を与えてやらないと忠誠が下がるのは上にも書いたとおり。ただ、ゲームではコマンド実行直後に俸禄の加増が出来ないため、忠誠を下げることで俸禄の加増を促していると言うことです。こう考えると、コマンド実行の度に忠誠が下がるのも納得が行きますし、更にはこのシステムの方がよりリアルなのではないでしょうか。
このように、『天下統一』はコマンド数が少ないながらも、きちんとした歴史的裏付けがなされています。シンプルなゲームシステムでありながら、戦国時代をリアルに再現しているゲームだと言えるでしょうか。
家臣の忠誠を維持できる者だけが天下統一を果たせる。
優秀な人材は充分な礼をもって遇すべし。
合戦も極力シンプルに。
宿敵を破り、天下に名を馳せよ。
強力な思考ルーチン もう一つ、『天下統一』の特徴を挙げるなら、コンピュータの強さにあります。
このゲームではシステムが単純化されている分、コンピュータの思考ルーチンもかなり強化されていて、油断していると簡単に負けてしまいます。序盤からアグレッシブに行動してくるので、大国であってもいつ攻めてくるか分からない、と言うスリルがあります。
しかも、ただ闇雲に攻めてくると言うことはしません。きちんと考えて行動しているようです。『天下統一』のコンピュータの特徴としては、弱点を徹底的に攻めるという点があります。作戦行動にしても、合戦フェイズにしてもです。「敵の弱点を衝く」と言うのは兵法の鉄則とも言えますが、ある意味ではコンピュータがこの“基本”に忠実であるために強いのだとも言えます。
また、軍事能力の高い武将に兵力を集中させてきます。これも、このゲームでは鉄則といえることです。正直な話、コンピュータの戦い方がそのまま攻略法に繋がっているようなものです。実際に、コンピュータが全国統一することも起こりますよ。
このため、有力と呼ばれる大名でプレイしていても油断は出来ません。『天下統一』では織田家や武田家でプレイしても、決して楽勝だとは言えないのです。
私も初めてプレイしたときには、コンピュータの強さに随分と苦労させられました。初めは織田家でプレイしたのですが、今川 義元を討ち取るまでは順調。しかし、今川家との同盟を破棄した武田家に手も足も出ず、と言うものでした。そんな折りに、「島津家が一番やりやすい」との情報を得て、島津家でプレイし天下統一に漕ぎつけました。
何度かプレイしてみると分かりますが、『天下統一』では中盤からが最大の難関となります。これは、コンピュータがプレイヤーとほぼ互角の勢力を築くからです。残存している大名家は2つだけでこの2家で全国を二分していると、言う状況も頻繁に発生します。まさに、天下分け目。序盤を乗り切ればあとはラクと言うゲームが多い中にあって、中盤からが勝負になると言うのも『天下統一』ならではです。
終盤になれば、コンピュータとの二極対立も。
期せずして「関ヶ原の合戦」となる。
そして太平の世へ・・・
総評 ★★★★★ 「シンプル イズ ベスト」を最も良く体現していると言えます。煩雑さを取り除いて、ゲームテンポとバランスを重視し、単純化されたシステム。それでいてしっかりした歴史的裏付けがあって、リアルに戦国時代を再現しています。そして、油断のならないコンピュータの強さ。常にプレイヤーに緊張感を与え、良きライバルになってくれます。
見た目は確かに地味で取っ付きにくそうなゲームですが、やればやるほどにのめり込み、奥深さを味わえる。マシン性能が遙かに上がり、3Dグラフィックを多用した派手なゲームが溢れる今においても、充分に通用できる面白さがあると言えるでしょう。
攻略編